411 誠実

ある武士の逸話があります。
彼は若かりし頃、剣術を習得するために
熱心に修練しました。

その武士がしたことというのは、
人のへその高さほどの岩に
木刀を振り下ろすことでした。

早朝から始めて夜暗くなるまで
休みなく振り下ろす動作だけを繰り返しました。

折れた木刀を積み上げた高さの分、
硬くなったタコの厚みの分、
武士の心は一層強靭になっていきました。

こうして数カ月経ったある日、
思い切り木刀を振り下ろした瞬間に、
岩が真っ二つに割れました。

武士の恒心は
岩も割るほどに集中した力でした。

その力は強靭な体力と精神力となり、
後に彼が最高の武士となる土台となりました。

この逸話のように、堅い岩も割るほどの
集中力と一貫した心が、誠実です。

一指 李承憲(イ・スンホン)
『TAO 自分さがしの旅』より

 

 

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