8月18日、ソウルのプラザホテルにて行なわれた「2013 青少年メンタルヘルス・シンポジウム」に、
中南米エルサルバドルのホアキン・ロデスノ校グロリア・ミュラー校長が参加し、
脳教育の成果について発表しました。
脳教育は、長年の内戦で麻薬や暴力、殺人など深刻な問題を抱えるエルサルバドルの
青少年たちに自らの価値を気付かせ、夢と希望を与えています。
エルサルバドルの深刻な教育環境
ミュラー校長は発表に先立ち、
地元のテレビ局がホアキン・ロデスノ校を取材したニュース映像を流しました。
その映像から伺える学生たちの姿は衝撃的でした。
取材はミュラー校長が就任した当初のものでした。
エルサルバドルの学校の中でもホアキン・ロデスノ校は特に深刻な状態でした。
ギャングに所属する学生、マリファナを吸う学生、学校に放火する学生もいました。
校長自身も学生たちに監禁され暴行されたこともあるため、
政府が派遣したボディーガードとともに行動せねばならず、
教師が生徒をまともに教育できる環境ではありませんでした。
わずか3か月で生まれ変わった
変化は「脳教育プロジェクト」とともに始まりました。
2012年にエルサルバドルの4校で脳教育プロジェクトが行われ、
ミュラー校長のいるホアキン・ロデスノ校では、
教師21人と最も問題の多い8年生の生徒を対象に脳教育の授業を実施しました。
脳教育プログラムでは、学生たちが感情やストレスを
自らコントロールできる呼吸法や緊張をほぐす方法などを教えました。
さらに効果を高めるために教師も共に教育を受けました。
そして、3か月後、驚くべき結果が出ました。「パエスタ」という全国学力テストにおいて
10点中3点以下で最下位だったのが、数学部門で10点中9点以上を収め、全国1位になったのです。
また、法律を守らず「警察の敵」と呼ばれていた学生たちが、
今年8月、交通警察と共に交通安全キャンペーンを行いました。
ミュラー校長は「3か月の脳教育プロジェクトでわが校は完全に生まれ変わった」と語りました。
エルサルバドルの全小中高に脳教育普及
エルサルバドルの公立学校では、毎年11月に学習成果を発表する場があり、
ホアキン・ロデスノ校は昨年、脳教育プロジェクトについて発表しました。
これによりエルサルバドル政府は、今年177校に脳教育を導入し、
今後、全国すべての小中高等学校に導入する予定です。
エルサルバドルを越えて中南米全域へ
また、23日、国際脳教育協会の一指 李承憲会長は、
脳教育がエルサルバドルを越えて中南米全域に広がることを願い、
ミュラー校長を広報大使に任命しました。
李承憲会長は任命式で「グロリア・ミュラー校長が見せてくれた脳教育による
学校モデルの実践とエルサルバドル全域への脳教育普及の功績を称えます。
今後、中南米全域に平和哲学に基づく脳養育の価値を伝え、
韓国との文化交流をリードしていくことを期待」しているとし、
ミュラー校長に脳教育を中南米に広める使命を与えました。
ミュラー校長はこれを受任し、インタビューに次のように答えました。
「私自身、とても強くなりました。以前は心配や憂うつ、恐れが多かったのが、
脳教育を通じて否定的なエネルギーを肯定的に変えられる力がつき、
どんな状況でも肯定的に眺め、笑えるようになりました。
脳教育が変化させたのは学生だけではありません。教師も変わり、
エルサルバドルの教育界も変わりつつあります。究極には世界がCHANGEすること。それが目標です」