地球意識こそが、「真の私」を引き出す

世界は今、干ばつや猛暑、豪雨などの異常気象による自然災害に悩まされています。
これは地球温暖化による気候変化が影響しており、今後さらにこうした災害が増えると懸念さされています。

地球温暖化は食糧不足や水不足に直結します。国連の地球環境報告書によると、
現在、8億8000万人がきれいな水を使えず、26億人が安全な公衆衛生を確保できていません。
このままいけば2025年には人口の半数以上が水不足で苦しむことになるといいます。

また、世界の人口の20%にあたる14億人が飢餓か栄養失調の状態にあります。
また、毎日1万8000人の子供たちが飢餓やその他の疾病で死んでいます。

私たち人類は、長く無視と無関心で、あるいは、傲慢によって地球を虐待してきました。
地球は特有の自浄能力で人間の傲慢に耐え、生命を育んできましたが、もう限界です。
物質的な富と生活の便利を追求する人間が使用したエコロジカル・フットプリントの指数は、
すでに地球の表面の1.5倍に達しており、2030年には地球2つ分、
2050年には地球3つ分の面積にあたる土地が必要だといいます。

地球は、生命が生きている唯一の惑星です。
地球がなくなれば、あらゆる生命が存在できません。
地球こそが絶対的な存在なのです。

人間にとって、国家や宗教は選択する余地があります。しかし、
地球には替わりになる存在がありません。
また、国家、民族、宗教は、誕生しては消えることもありますが、地球は存在し続けます。

地球の絶対的な価値を自覚するのが「地球意識」です。これまで人類は
「国家」「民族」「宗教」といったものに意識を置いていました。
しかし、科学の発達などにより、「国家」「民族」「宗教」は絶対的なものでなく、
相対的なものであることが分かってきています。

わずか数百年前、大多数の人は地球が丸く、
宇宙空間に浮かんでいる多くの星の中のひとつだとは想像もしていませんでした。
しかし、今、地球が宇宙空間に存在する丸くて青い天体だということは、子供たちも知っています。
地球を離れなくとも宇宙から撮った地球の姿を見ることができ、
インターネットを通じて自分の住む街が地球のどの辺りにあるのかも分かるようになりました。

地球はあらゆる生命の母です。あらゆる生命を育み、育てる生命の源です。
私たちはこれまで、地球からとても多くのをものもらってきました。
しかし、地球はもはや人間に何かを施すだけの余力がだんだん無くなってきました。
親が年老いて病に伏せば、子供は親に恩を返すのが道理であるように、
今、人間が病みゆく地球を助け、愛する時なのです。

人間は、宗教や民族、国家のために祈りを捧げてきました。
他方、地球のために祈り、働く人は多くはありませんでした。
しかし、宗教や民族、国家などの概念は、人間が生活の利便のために作りだした道具に過ぎません。
地球をすべての価値の中心とする「地球意識」こそが、地球を平和に向かわせる最も重要なカギです。

ある宗教や、ある国家を中心とした平和は、互いに戦うしかありません。
互いの中心が違うために戦うようになるのです。
平和と平和が互いに葛藤し、互いに戦うわけで、真の平和ではありません。
地球を中心価値として認識し、あらゆる宗教や思想、国家が同等な立場で
互いを尊重してはじめて、真の平和の基礎が形成されます。
地球が中心価値になってはじめて、家庭も宗教も人類共同体の成長と発展に
貢献する本来の役割と機能を果たすことができます。

地球意識に基づく哲学を選択し、原則を実践する人を「地球人」と呼びます。
私たちはアメリカ人、ヨーロッパ人、日本人である前に地球人です。
自らを地球人と認めるとき、これまで自分を支配してきた民族、
人種、宗教、思想からくる偏見や観念を克服できます。
人類が地球人という自覚をするとき、今、人類が直面している問題を解決することができるのです。

地球人としてのアイデンティティと地球平和の実現というビジョンを持ち、
良心に従い、正直、誠実、責任感を持って生きる—。
これが私たち一人一人にとっても、霊的な完成に至る最も早く確実な道です。
地球人になるということは、「すべてが一つであることを分かる」ということを
最も具体的に表現しているのです。
これは、今まで自分だと思ってきた「私」から脱し、実際の「真の私(真我)」に変わることです。

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