ストレスを感じたら、呼吸に集中しよう~『CHANGE』オーディオブック

呼吸は生命のリズムの最初の表現です。

呼吸を認識し、自然に呼吸してみましょう。

心臓の鼓動や血圧、体温、発汗、呼吸は
すべて自律神経系によって制御されている重要な機能です。

「自律」というのは「自ら制御する」という意味で
これらの機能には注意を払う必要も
意図的に制御する必要もありません。

もし、心臓の鼓動の世話を意識してやらないと
心臓が止まってしまうとすると
日々の生活はその世話だけで終わってしまうでしょう。

自律神経によって制御された重要な機能の中でも
ほかとは違うものがあります。

それは呼吸です。

呼吸は意図的にコントロールすることができます。

自律的ですが
コントロールすることもできるのです。

呼吸は
人間の内なる生理学的状態を反映していると同時に
それに影響を与えます。

呼吸には思考や感情、エネルギーを管理する
強力なツールとして使える可能性があるのです。

呼吸は、自律神経系のバランスに影響を与えますが
そのバランスは自律神経系を構成する2つの神経系である
交感神経と副交感神経の相互作用によって維持されています。

交感神経は人を興奮させ
副交感神経は人を落ち着かせるものです。

これがどのように機能するかを見るには
人差し指と中指を
手首か、左右どちらかのあごの下の首筋にあてます。

心地よい呼吸を続けながら脈を確かめ
呼吸を吐くときと吸うときで
どう違うかに注意してみましょう。

何度か呼吸する間に
息を吸うときには脈が速くなり
吐くときには遅くなることに気づくでしょう。

心拍数の増加は交感神経優位を
心拍数の低下は副交感神経優位を意味します。

このようにして呼吸は自律神経系に直接影響を与えるのです。

自律神経系は
休息と消化の時間と活動の時間が交互に訪れる中で
自然にバランスを保つものと推測されています。

とは言え
現代の慌ただしく、ストレスと刺激に囲まれたライフスタイルでは
私たちの自律神経系はバランスを崩し
交感神経の過活動か副交感神経の活動低下の
どちらかの状態になっていることが多いです。

呼吸は自律神経系を
適切なバランスに回復する強力な手段になります。

呼吸数は交感神経が優位に働くよう影響を与え
呼吸の深さは副交感神経が優位に働くよう影響を与えることから
自律神経系のバランスを回復する最も効果的な方法は
ゆっくりと、深く呼吸をすることです。

それによって興奮した交感神経が落ち着き
疲れた副交感神経は元気づけられます。

1回の呼吸は、吸う、休止、吐く、休止という
4つの段階から成ります。

休息状態にある大人では
最適な呼吸のリズムは12秒で1回
あるいは1分あたり5回です。

このペースで呼吸しているときに
最も心肺機能が効率よくなります。

1分あたり7回から10回の場合は軽度の興奮状態
1分あたり10回から20回の場合は低いレベルのストレスを意味します。

1分あたり20回より多い場合
その人は相当なストレスを抱えています。

ゆっくりとした深い呼吸は
どのような状態の人にとっても
自律神経系のバランスを健康で自然な状態に回復するのに役立ちます。

ストレスを感じたら
まずそれに気づき、認めましょう。

すると無意識のうちに、習慣的に反応することがなくなり
ストレス要因と自分の反応の間に空間が生じて
それを異なる選択のために使うことができます。

自分の呼吸を意識し、心地よい呼吸をしましょう。

自分の呼吸を認識した途端に
自然に深く、ゆっくりとしたものになります。

「吸う」と「吐く」の間の「休止」に集中しましょう。

集中していると内なる空間と静けさが感じられるでしょう。

この空間と静けさは
ストレスを感じている状況においてさえ
よりよい選択を行う力と余裕を与えてくれます。

呼吸がより深く、ゆっくりとしたものになるほど
より多くの空間を自分の内に生み出すことができるようになります。

その空間は次第に大きくなり
自分の思考と感情はすべて
自分の内なる空間の大きさの中では
些細でとるに足らないことに見えてきます。

これが、平和な心を手に入れ
自分の本質である自然の状態を回復する方法です。

呼吸は自分のエネルギーのバランスをとり
集中力を高める最も自然で有効な方法です。

呼吸をととのえることで
常に自分の中をめぐる生命の自然なリズムと一つになることができます。

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