今この瞬間、あなたの心にはどんな考えがあり、どんな感情があるでしょうか?
そのひとつの考えから数多くの考えが湧き、数多くの感情が起こります。そしてその感情によって私たちの体は様々な科学反応や生理反応を起こします。
うれしくて幸せなことを考えると体にいいホルモンが分泌され、ネガティブな感情に長く陥ると体に悪いホルモンが分泌されます。
あなたがジムで1時間、一生懸命に走ったりウェイトトレーニングをし、気持ちいい汗を流して爽やかな気分で家に帰ってきたとしましょう。
もしくは、ヨガスタジオでストレッチや筋力トレーニングをし、心と体をリラックスさせる呼吸を1時間ほどして、世界のすべてがあなたのために存在しているかのような最高にポジティブなエネルギー状態で家に帰ってきたとしましょう。
しかし残念ながらその日の夜、家であなたの妻や夫、子どもと大喧嘩をして和解できないまま終わったとしたら?
そのときも、あなたはポジティブなエネルギー状態と心の平静を保てるでしょうか?
おそらくほとんどの人は、多くの考えと感情が入り乱れた状態でよく眠れないでしょう。きっとあなたの呼吸は不規則になり、ストレスで頭は熱く、首と肩はカチカチに固まり、下腹と手足は冷たくなっているでしょう。
思考や感情をコントロールできない状態で、飲食と運動だけで健康になり自然治癒力を回復しようとするのは、まるでソフトウェアを管理せずにハードウェアの管理だけでコンピュータをいい状態に維持しようとするのと同じです。
大切なのは、自分の思考と感情は私と関係なく起こる現象ではなく、自分自身が選択できる対象だと知ることです。
初めに起こる考えや感情を取捨選択するのは簡単ではないかもしれません。そうした考えや感情は、どこからともなく吹いてくる風のようにふと起こることもあります。
しかし、そんな風にわき起こった考えや感情にどのように反応するかは完全に自分の選択です。
望むとおりに心をコントロールするのは簡単ではありませんが、決して不可能なことでもありません。ただ練習が必要なだけです。
自然治癒力の回復のために体温と呼吸を調節する練習をするように、心の中身である思考と感情の調節も練習することができます。
練習によって上達しないものは、この世に何ひとつないのです。
一指 李承憲著『ソーラーボディ』