好きな歌1曲を選んで感情をのせて真剣に歌います。
その歌にしっかり集中して、1時間以上何度も歌ってみてください。
特に思い浮かぶ曲がなければ「ア、ウ、ウン」などの母音にリズムを付けて長く声を出してもよいです。
初めから声を大きく出そうとか、トーンを高くしようとせず、小さくて低い声で歌ってみましょう。
のどから出す声ではなく下腹からエネルギーを引き上げて体全体を響かせる声を出します。
そのためには体と心をリラックスさせます。 楽な状態で自分の体と感覚に完全に集中しながら、
真心を込めて声を出すと、下腹の丹田から音が響き全身に共鳴するようになります。
この時、歌に自分の感情をのせることが大切です。
歌にのせた自分の感情、声のきめ、トーンや感じなどを細かく深く感じながら歌ってみます。
その中でだんだん歌と親しくなって一体感が感じられるようになります。
音程や拍子に気を遣わず、上手にしようと頑張らずに、
自らの感覚とリズムに任せて歌を歌いましょう。
そうすると歌にエネルギーが入って素晴らしく楽しくなります。
声からエネルギーが抜けると趣がありません。
あたかも料理の塩加減が適切でないと、味が薄かったり塩辛くなったりするかのように。
自分になじまない歌を歌う時、特に人の前で歌う時には、
私たちは慌てたり恥ずかしく感じたりします。
しかし、呼吸する時は慌てたり恥ずかしいとは思いません。
それは人それぞれ呼吸の音やリズムは違うけれど、呼吸がすでに自分のものになって楽だからです。
同じ歌を1時間以上歌うと自分の声が出ます。
歌の歌詞とリズムと自分自身が完全な一体感を感じるようになります。
そうなると呼吸をしているかのように歌がおだやかに感じられます。
集中して歌を歌うと自分の声がこんなに美しかったのかと驚くときがあります。
自分自身の声と振動に自ら感動して涙が出たりもします。
歌を通じて探した自分の声は、私たちの言葉と行動の中に自然に広がっていきます。
自分の声を探す過程で自らの価値を探すようになります。
そしてその価値を表現して実現しようとする熱望と意志と情熱を持つようになります。
1時間ほど時間をつくり、ぜひこのように歌ってみてください。
自分の声を探すことがどれほど大きい喜びを与えるか、ぜひ体験してください。