天門瞑想は頭頂部に少し重みのある物を乗せた状態で瞑想します。
瞑想がよくできるというのは、とりとめのない考えや感情がなくなり、自分の身体と内面によく集中できるという意味です。
頭頂部に物を乗せると、意識が完全に乗せた物に集中するので考えや感情から簡単に抜け出せるようになります。
重みがあって底が平たい石をひとつ準備します。
大きすぎる石は落とすとケガをする可能性があるので、こぶしくらいの大きさが適当です。他にも本などの割れない物もよいでしょう。
座って背すじを伸ばし、準備したものを頭頂部に乗せます。手はひざの上に楽に乗せます。この姿勢を維持したまま、目を閉じて脳と身体に集中します。
頭の上に乗せた物の重さを感じてみます。頭頂部に物を乗せた瞬間に脳が反応するのが感じられます。物を落とさないように全神経と感覚が頭頂部に集中します。
エネルギーの側面から見ると、天門は身体の最も高いところに位置する重要なツボです。百会とも呼ばれ、昔から天のエネルギーを受けとる神聖なツボと思われてきました。
天門に石を乗せた瞬間に、そこに意識が集中し、天門が開き始め、天の清く神々しいエネルギーが入ってくるのが感じられます。
頭をぐっと押している物の重みを感じてみます。
重さもエネルギーです。重みが頭から胸を通って下腹まで下りるのを感じてみます。頭頂部の天門から下腹までエネルギーの柱が立ち、集中し続けるとその感覚がさらに強くなります。
両手をゆっくりひざから10センチほど上げ、手のひらを上に向けます。
背すじを正して呼吸に集中します。外部に集中していた意識が内部に入ってくるのを感じてみます。
口には唾液がたまり、呼吸が深まって心が楽で静かになります。まるで砂時計の砂が落ちるように、または全身を流れ落ちる温かな命の水のように、天門から天のエネルギーが下りてくるのを感じてみます。
脳が平和になった感じがしませんか?
平和とバランスの感覚が回復します。その感覚が最も自然で正常な状態です。
その感覚はもともと私たちに備わっていたのですが、それを忘れて生きてきたのです。もうそれを回復しましょう。
頭に乗せていた物を床に置き、そのまま目を閉じて呼吸しながら集中力を維持します。
天門瞑想をする前と比べて、今自分に起こっている変化を感じてみます。
身体と心の中心がとれ、エネルギーが安定しているのが感じられるでしょうか?
物を下ろした後も頭頂部に重みが感じられ、天門から上丹田、中丹田、下丹田までつながるエネルギーの柱が感じられることもあるでしょう。
天門から入ってきたエネルギーがそのエネルギーの柱に沿って下りてきて、下腹の丹田にたまるのをイメージしてみます。
頭は冴えてすっきりし、下腹は温かく中心のとれた感じがします。これが身体のエネルギーバランスが理想的な状態です。
一指 李承憲著『コネクト』