新しい私と出会う瞑想の旅

私の人生において、旅は日常、瞑想は生活です。私は今も地球人スピリットと脳教育を伝えるために、韓国からアジア諸国、アメリカ、ヨーロッパ、オセアニアへと、旅をしながら過ごしています。世界のどの国、どの都市に行っても、私はそこで人と出会い、自然と出会います。人と会えば人生や夢の話をし、自然と会えば深い瞑想に入ります。旅は新しい自分や新しい縁に出会う機会となり、夢とビジョンを創造する機会になります。

毎年、世界人口13億人が国境を超えて旅をするそうです。世界的に有名な自然環境や文化の名所を訪れる観光客も増えていますが、「新しい自分さがし」のために旅をする人もだんだん増えています。このような傾向は「ノマディズム(多様な生活形態を目指す主義)」と呼ばれており、自分が何者なのかを知りたいという現代人の強い内面的欲求の現れでもあります。慣れた日常の環境や親しい人間関係から少しのあいだ離れ、自らに「私は誰か?」と問いかけられる時間と空間が誰にも必要なのです。

私は1990年代中頃に、アメリカ西部にある世界でも有名な観光地のセドナを初めて訪れました。地球上に21カ所あるボルテックスの5つが存在するというセドナの美しい自然と神秘的なエネルギーにすぐに惚れ込み、地球の根源のエネルギーと出会って深い瞑想に入りました。それから少しして私はセドナの住民になり、セドナの自然とエネルギーに合う瞑想法を開発し、自己啓発プログラムとしての瞑想プログラムを作りました。そして、セドナという見知らぬ土地に私に会いにくる教え子や読者に瞑想プログラムをガイドしました。こうしてセドナ瞑想が始まりました。

瞑想プログラムは、一般的な観光とは異なります。ほんとうの自分と出会うために、そして自分の人生を新たに設計するために日常を離れるのです。現実にしばられた複雑で乱れた心では、ほんとうの自分は見つけにくくなります。日常的に繰り返される人生のパターンからひとまず抜け出し、新しい空間に移動する必要があります。

見知らぬ土地で瞑想するのは、脳を開発するのに特に効果的な方法でもあります。日常から離れるのは、日々のストレスや緊張から体と心をリラックスさせると同時に、新しい経験への期待で私たちの心を目覚めさせてくれます。こうした日常を離れるという特徴が脳の能力を最大に使えるようになる条件である「リラックスした集中」の状態を簡単につくってくれるのです。

これに、このような状態をさらに増幅させるための瞑想トレーニングを意識的に結合させると、その効果はより高まります。特別なエネルギーで意識を高め、体内エネルギーの循環を活性化してくれる場所で瞑想すれば、この2つがもつ長所とパワーが大きく増幅されます。新しい環境の中に入るだけで、脳に新鮮な衝撃を与えられます。いつも習慣的に働いていた思考パターンではなく、まったく新しい環境の中で新しい発想が浮かび、脳に新たな回路が形成され始めます。

最近、私が人々に勧めている瞑想地は、ニュージーランドの北島にあります。5年前に講演依頼を受けて初めてニュージーランドを訪れました。北半球からニュージーランドのある南半球に向かって飛んでいく体験は、脳に新鮮な衝撃を与えました。赤道を横切りながら「私は本当に地球で暮らしているんだな」と実感しました。今まで体験したことのない未知の大地、完全に新しい空間と時間帯に入り、ニュージーランドで向き合った純粋な自然は、体と心と意識、私のすべてに新鮮さをたっぷり吹き込んでくれました。

そして、ニュージーランドは私に新たなインスピレーションをプレゼントしてくれました。ニュージーランド北島のケリケリ一帯は特に、自然としての自分に気づき、地球と自分は切り離せない一つだということを体験できる瞑想地です。私はここに地球市民学校をつくり、地球市民運動本部であるアースビレッジを実現するというプロジェクトを構成し、そのプロジェクトのために120歳まで生きるという人生の新たな選択をしました。このように、日常を離れた瞑想は人生に新たなビジョンと新たな時空を創造するきっかけになります。

私は、ニュージーランド瞑想に訪れる人々に、話頭をもってくるようにと伝えています。自分が解決したい問題、どんなに悩んでもすっきり整理できない問題があれば、それが話頭です。自分の悩みに答えを見つけたいという思いが切実で情熱的なほど、はっきりとしたメッセージを受け取れます。それは考えてできることではなく、自然と一つになったときに自然に起こります。

深い呼吸とともに入ってくる自然の生命エネルギーが全身のツボを開き、自分を幾重にも取り囲んでいた保護膜が自然に取り除かれます。複雑になっていた考えが止まり、感情のエネルギーが浄化され、自分を正直に眺められるようになります。感情と考えが空いたところに、汚染されていない自然の清らかなエネルギーが満ちると、意識も自然に高まります。内面の自然と外部の自然がひとつになるとき、自分に必要なメッセージが聞こえ、もともと自分の中にあった完全な姿が目覚めます。

これまで自分だと思っていた私ではない新しい私、考えや感情を超えた深いところに息づいているほんとうの私と出会ったとき、完成に向かう新たな人生をスタートできます。それがほんとうの自己価値であり、人間の価値、そして人生の価値です。日常を離れた瞑想は、幼虫がサナギの中で変化を待つ時間にも例えられます。ひよこが卵から出てくるには、意を決して殻を破って出てこないといけないように、新しい人生を設計するには、ためらわずに選択しなければなりません。

これまでは、環境に求められるままに、社会システムに従って生きる人生だったかもしれません。これまで懸命に生きてきたけれど機会が与えられたら自分の人生を設計し直してみたいという思いが誰にでもあるはずです。その美しく完全なほんとうの自分と出会うとき、私たちの中に希望が蘇ります。そして、自分自身への希望が蘇ると、世の中のための希望になることができます。

私はニュージーランド瞑想に訪れた人にいつも言います。「ここは自然が美しいところです。しかし、この自然を美しく感じるあなたの魂は、もっと美しいのです。自然の美しさにばかり酔いしれないで、あなたの内面に耳を傾けてみてください。そうすると内面から聞こえてくる声があるはずです。それがあなたの魂の声です」

もし今、あなたがどこかに行きたいと思っているなら、日常を離れた瞑想を選んでみてください。するとあなたは新しい夢と希望と自信を得て、また戻ってくることができるでしょう。

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